大西洋クロマグロ、ワシントン条約で禁輸の危機(読売新聞)

 13日から中東のカタールで開かれるワシントン条約締約国会議で、大西洋クロマグロが「絶滅の恐れがある種」に指定され、輸出入が禁止される可能性が高まっている。

 現在の漁獲枠約2万3900トンのうち8割を輸入する日本は強く反対しているが、情勢は厳しい。市場を流通する食用の魚が同条約で禁輸対象となれば初のケースだ。クロマグロは食卓から消えるのか――?

 ◆すし店は悲鳴◆

 「禁輸を見越して、卸業者はもう売り惜しみし始めた」。東京都文京区ですし店を営む男性(33)はこぼす。店で使う大西洋クロマグロの仕入れ値は、昨年11月には1キロ4000円だったのが、2月には同6500円まで上がった。「禁輸でさらに高くなったら買えない」

 禁輸対象には養殖マグロも含まれる。稚魚の乱獲につながるとされるためだ。地中海の養殖品を使って中トロ2貫399円で提供している回転ずしチェーン「銚子丸」(本社・千葉市)も、「今後はどうなるか……」と気をもむ。水産庁などによれば、現在、国内の高級マグロの冷凍在庫量は約2万トン。太平洋クロマグロも約2万4900トン(08年)とれているため、大西洋で禁輸になっても、すぐ高騰することはないが、じわじわと値上がりすることは避けられそうもないという。

 ◆ワシントン条約◆

 マグロの資源保護は、これまで「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)」など五つの地域漁業管理機関が漁獲枠を定めるなどして対応してきた。だが、1970年に25万匹いたとされる大西洋クロマグロの親魚は、近年は10万匹まで減少したと推定され、グリーンピースなど環境保護団体の間では「漁業管理だけでは絶滅を防げない」との批判が拡大している。

 こうした中、13日から25日までカタールで開かれるワシントン条約締約国会議(175か国加盟)で提案されるのが「絶滅の恐れがある野生動物」への指定だ。採択されれば90日後には発効し、漁業関係者への配慮などから猶予期間が設けられる可能性があるが、発効すればいずれ禁輸となる。

 採択には3分の2以上の賛成が必要。「投票に参加するのは150か国程度」とみる水産庁は、漁業に力を入れる中南米やアジア諸国に働きかけるなどして「50か国の反対票」を固めようと奔走するが、欧州連合(EU)の欧州委員会も加盟国に賛成を求めており、劣勢が予想される。

 ◆いずれマダラも?◆

 日本関係者が恐れているのは、今回の動きが、マグロを「漁業資源」ではなく、「野生生物」として保護しようとしている点だ。日本が年間に消費する魚介類約720万トン(08年)の半分は輸入頼みだけに、宮原正典・水産庁審議官は「大西洋で認めたら、次は太平洋やインド洋、そして、減少が懸念されるマダラなど、他の魚にまでドミノ倒しのように規制が広がるのでは」と危機感を募らせている。

 ◆クロマグロ=本マグロとも呼ばれ、大型でトロ部分が多いため最高級品とされる。大西洋に分布する「大西洋クロマグロ」と、日本近海などでとれる「太平洋クロマグロ」の二つに分類。次いで高級とされるミナミマグロ(インドマグロ)を含め、それぞれ国際委員会が資源管理している。

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